4.問題

それは18世紀にビュフォンという人が提案した問題で『ビュフォンの針の問題』と呼ばれます。ここでは、投げるのはコインやサイコロではなく、針を投げます。投げる先はテーブルの上で、そのテーブルの上には何本かの平行線が等間隔で引かれているとします。針の長さをD、平行線の間隔をLとして、D<L つまり針の長さは平行線の間隔よりも小さい、としておきます。そこで考えるのは、「針をテーブルの上に無作為に投げたとき、着地した針が平行線のどれかにかかっている確率はいくらか」という問題です。今の場合、針は平行線のどれかとクロスしている場合もあれば、隣あう二つの平行線の間に落ちてどの平行線とも接触していないということもあり、それはランダムな現象といえます。着目しているのは「かかる」か「かからない」かという2通りの場合ですが、その確率を求めるには針と平行線との位置関係をきちんと見極める必要があり、そのためには何通りのうちの何通りという考え方では全く不十分で、区分けできない連続的な量を考えなければなりません。

ではこれの答えを言える人はいるでしょうか・・・。いないようですのでホッとしました。もし正解できる人がいたら僕はこの場で講義をやめて、その人に代わってもらおうかと思っていました。答えを書きましょう。求める確率は、(2D)/(πL)という式で与えられます。ここでπは円周率です。例えば針の長さが4cm、平行線の間隔が8cmだとしたら、D=4, L=8 をこの式に代入すると分母分子の8がキャンセルされて、確率は1/πです。πは約3.14ですから1/πは約0.32となり、32%程度の確率で針は平行線のどれかにかかるということが言えます。

残念ながらこの答えの式がどのようにして導かれるかということについて、この講義時間内に解説することはできません。その代わり、この問題をもっと単純化したものを考えましょう。さっきの問題で状況をややこしくしていた原因の一つは、針に方向性があるということと言えると思いますので、方向性の無いもの例えば硬貨を投げることにしましょう。針の長さの代わりに今度は硬貨の直径が相当しますので、それをRと書きます。そしてやはりR<Lである、つまり硬貨の直径は平行線の間隔よりも小さいとし、考えるのは「硬貨をテーブルの上に無作為に投げたとき、着地した硬貨が平行線のどれかにかかっている確率」です。明らかなのは、この確率は(Lを固定したときには)Rが大きいほど大きく、RがLに近いと確率は1に近いはずということでしょう。では、確率がRやLによってどのように与えられるか考えるために、硬貨と平行線の位置関係を詳しくみることにしましょう。以下、簡単のために、硬貨が平行線のどれかにかかっていれば「成功」、そうでないとき「失敗」ということにします。

5.解答