佐賀大学理工学部
第203回応数談話会

談話会

日時
2009年6月3日(水)16:10−17:10
講演者
洞 彰人 氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
題目
ヤンググラフの経路空間上の測度とその応用
概要
 対称群の表現論において、ヤンググラフ の有限の経路たちは、分岐則を 忠実に反映したたいへん性質の良い基底を パラメトライズします。 無限に延びる経路全体を扱うと連続濃度に なってしまいますが、経路空間 上の測度を考えると良い性質をある意味継承 できます。回数制限のない コイン投げを扱うために無限直積を導入する のと全く同じ事情です。 このようなヤンググラフの経路空間上の測度は、 (ア)プランシェレル測度 やジャック測度等、それ自身が興味ある研究対象 であるという面と (イ)無限対称群やその仲間たちの上の調和解析 において有効な道具になる という面の両方から、注目を集めています。

 この談話会では、それぞれの 観点からの例として、
(ア)ヤング図形の極限形状とその周辺の話題、
(イ)無限対称群および無限環積群の指標の決定 への応用について、
お話しする予定でいます。時間があれば、講義の 方で話す量子確率論や スペクトル解析との関連についても触れられれば と思います。この談話会での話は、平井武氏、平井悦子氏 との共同研究の内容を一部含みます。

洞 先生による連続講義

日時
2009年6月1日(月)-6月5日(金)
予定
6月1日 13:30−17:00 途中1時間休憩
6月2日 13:30−17:00 途中1時間休憩
6月3日 16;10−17:10 談話会
6月4日 13:30−17:00 途中1時間休憩
6月5日 11:00−12:00
講義
グラフのスペクトルにまつわる 古典解析と量子確率の話題
講義概要
 大きなグラフのラプラシアンの スペクトル解析において、量子確率論の 考え方を援用することにより、いわゆる オブザーバブルとしての解釈 のみならず、新たな独立性・従属性の概念 を通した確率論の方法によって その漸近挙動を調べる道が開かれます。 この講義では、その辺の事情を なるべく具体例に即して解説します。 題材としては、距離正則グラフを 中心に据えます。実は距離正則グラフに 限れば、この話はヤコビ行列の スペクトルに関する古典的な解析の焼き 直しにすぎないのですが、それでも ある程度豊富な例があり、量子分解経由 の中心極限定理の筋道が証明も 込めて明快に示せるという大きな利点が あると考えます。主たる道具は 直交多項式論です。ただしこの文脈では あくまでも測度が主役でありまして、 直交多項式、ヤコビ係数、スティルチェス 変換、連分数等がどういうふうに 絡み合いながら(スペクトル)測度を規定 していくかについて、基本的な ところから解説を始めます。手前みそでは ありますが、次の書物の第1章 から第6章までの内容を適当に取捨選択し つつ話を進めます。
A. Hora, N. Obata: Quantum Probability and Spectral Analysis of Graphs, Theoretical and Mathematical Physics, Springer, 2007.
場所
数理科学科大セミナー室(理工学部6号館(DC棟)5階501号室)
連絡先
〒840-8502 佐賀市本庄町1 佐賀大学理工学部数理科学科
三苫 至 [mitoma@]
TEL 0952-28-8526  FAX 0952-28-8501

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